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箱形建築のモデリング

Shadeを使って箱形建築のモデリング(3Dモデルの製作)をしましょう。

モデリングというのは,カタチ(モデル)をつくっていくことで,コンピュータ上で模型を組み立てるような作業です。ただし,細部をつくりこんでいくといった模型よりも高度なことができます。模型というより実物に近いカタチをつくることができます。実物の建築のようなリアリスティックなCGを制作するためには,緻密なモデリングが必須です。

しかし,最初の練習としては,単純なカタチである箱形建築をつくることにしましょう。 箱形建築については,拙著「建築のしくみー住吉の長屋/サヴォワ邸/ファンズワース邸/白の家」(丸善)を参照してください。

Shadeによるモデリング

Shadeは,建築に限らず,たとえば人体などのさまざまなカタチのCGを製作するCGアプリケーションです。そのため,建築の図面を描くためのCADアプリケーションではあたりまえの,図形を細やかな寸法で描いたり,他の図形の端点へスナップしたり(他の図形の端点から新たな図形を描き始めたり)といったことは得意ではありません。特に階段は,半端な寸法の表れる部位ですから,Shadeで階段をモデリングしようと思うと大変やっかいなことになります。

つまり,Shadeだけで建築のモデリングをするのは効率的ではありません。一般に建築の平面図や断面図は,床,壁,階段といった建築の部位をその面に垂直な方向から眺める投影図となることが多いわけですから,平面図や断面図を利用して,そこに描かれている部位に高さや奥行きや与えるのが効率的なのです。

しかし,箱形建築の床,壁,開口部(窓とドア)は,Shadeの練習を兼ねて,Shadeを使ってモデリングをしてみましょう。階段については,Shadeでのモデリングは難しいので,CADを併用することにします。

まずは,階段以外の床,壁,開口部(窓とドア)のモデリングを以下の手順で進めましょう。

  1. 平面図(平面の形状)を描く
  2. 平面図を立体化する
  3. 立体化した形状を移動/コピー
  4. ブーリアン演算を用いて開口部に穴を空ける

モデリングが完成したらカタチは出来ています。しかし,モデリングをしただけでは,CGを描いても光や素材感が表れず,おもちゃのようにしか見えません。リアリスティックなCGを描くには,モデリングの後に,以下の作業が必要になります。

  1. カメラワーク
  2. ライティング(光の設定)
  3. テクスチャーの定義(表面の色や形状の設定)
  4. レンダリング(CGの描画)

さて,上記のモデリング後の話は後回しにして,ここでは,まずはモデリングを進めましょう。

Shadeの基本

Shadeの初期画面(図1)では,メインウィンドウに[上面図],[正面図],[右面図],[透視図]という4つの画面が現れます。そして,メインウィンドウの左に[ツールボックス]と[ツールパラメータ],右側に[ブラウザ]と[統合パレット]が配置されます。メインウィンドウの上部には[コントロールバー]という設定等を行うためのボタンがあります。下部には[ステータスバー]という座標値などの数字を示す部分があります。

図1 初期画面

 

これらのメインウィンドウやなんとかボックスやなんとかバーは,[表示]メニューからON/OFFできます。右側の[ブラウザ]と[統合パレット]は,上部の「>>」をクリックすることで右端に閉じることが出来ます。上部のタイトル部分をドラッグすれば,各パレットの上下左右の境界をドラッグすると,パレットのサイズを変更できます。閉じてしまったり変更したりしたものを元に戻したい場合は,メニュー[ウィンドウ]>[ウィンドウを初期化]を選択すれば元通りです。

さて,CGでは,2次元平面上に図形を描いていくわけではなく3次元空間上に立体をつくっていくわけですから,平面図と立面図(あるいは断面図)を同時に見ながら作業をする必要があります。Shadeでは平面図に相当するのが[上面図],立面図(あるいは断面図)に相当するのが[正面図]と[右面図]です。[上面図,正面図,右面図]はカタチを真正面や真横から眺める特殊な投影図ですが,最終的に描きたいCGは,カタチを自由に眺める[透視図]として描くことになると思います(時には真正面や真横から眺めるCGを描きたいこともあるでしょうけど…)。

つまり,Shadeでは,[上面図,正面図,右面図,透視図]によって,それぞれの方向,それぞれの見方で眺めながら,カタチをつくっていきます。なお,[上面図,正面図,右面図,透視図]のタイトル部分をクリックすれば,別の図に切り替えることができます。また,いずれかの図面を選択し,画面上部にある[モデリング]ボタンをクリックすると,選択中の図面だけを大きく見ることができます。そして,[四面図]で4画面表示に戻ります。あるいは,画面上部の[コントロールバー]の[図面レイアウトの選択]でも図面表示の切り替えができます。

環境設定

Shadeを使い始める前に,[環境設定]について,簡単に説明をします。

他の多くのアプリケーションと同様,起動時の初期設定は,メニュー>[環境設定]から行います。使いやすいように,あるいは好みに合わせて,初期設定をすればいいのですが,ここでは,[ビュー]タブにおいて,以下の2つの設定をすることをおすすめします(図2)。

  1. バウンティングボックス:オフ
  2. マニピュレータ種別:非表示

バウンティングボックスは図形の選択時に表示される図形の領域です。表示される方がいい場合もありますが,とりあえずオフ(表示しない)をおすすめします。マニピュレータは,図形をマウスドラッグで移動・回転・拡大縮小できる便利なものなのですが,常時表示されていると邪魔に感じることがあります。必要な時には[コントロールバー]でオン/オフできますから,初期設定ではオフ(非表示)をおすすめします。

図2 初期設定

 

座標系

画面下部の[ステータスバー]にマウスカーソルの位置がXYZ座標で表示されます。マウスを動かしてみてください。マウスは3次元空間上を動きます。平面図,正面図,側面図のどれか一つの画面だけではマウスの位置は決まりません。たとえば,平面図ではXとZの値が動きますが,Yの値は動きません。Yの値を動かすためには,マウスを正面図か側面図で動かす必要があります。マウスの動きをある高さに固定したい場合は,正面図か側面図で高さを決めてクリック(または,Ctrl+クリック。MacではOption+クリック)をすると,その位置に高さが固定されます。

ところで,一般に,建築系のCADソフトは水平面にXY座標をとり,垂直方向をZ軸とすることが多いといえます。それは,建築では立面図や断面図よりも平面図を先に描くことが多いからだと思います。それに対して,CGソフトでは,垂直面をXY平面とし,Z軸を奥行き方向にとるものが多いのです。Shadeもそうなっています。

これは,CGソフトは,どちらかというと形態の内部よりも外部をモデリングすることが多いからだろうと思います。人間や動物などのキャラクターをモデリングする場合は,平面的な形状より立面的な形状を意識しながら外形をモデリングするのが自然でしょう。人間や動物の平面図なんて想像しがたいですしね。

Shadeでは,垂直面がXY平面,奥行きがZ軸だということは大事なポイントですから,覚えておいてください。

図3 座標系

 

4. 四角形の描画

Shadeでは,[ツールボックス]を使って,図形を描いたり編集したり,その他いろいろな操作をするためのコマンドを選びます。[ツールボックス]の表示/非表示は,メニュー[表示]から指定できます。もし[ツールボックス]が見当たらなければ,メニュー[表示]の[ツールボックス]をON/OFFしてみてください。 [ツールボックス]から[作成]>[長方形]を選ぶと四角形が描けます。6メートル×6メートルの正方形を高さゼロの位置に水平に描いてみましょう。

ここで,[グリッド],[スナップ],[相対座標/絶対座標]といった概念を覚えておきましょう。[上面図,正面図,右面図]の上部にある図面ズームのための「ー/+」も使ってみましょう。

初期設定では,画面上部の[コントロールバー]に[図面設定]アイコンが表示されていないので,表示されるように設定しましょう。[コントロールバー]の空いているところを右クリックすると,[コントロールバー]に表示されるアイコンのオン/オフができます。[図面設定]を[icon]表示にしましょう(図4)。[図面設定]の左方にある[スナップ]ボタンがオンになっていることを確認してください。このボタンにより,スナップをオン/オフできます。

図4 コントロールバー

 

画面下部の[ステータスバー]に[絶対座標/相対座標]の切り替えボタンがあります(図5)。また,[上面図,正面図,右面図,透視図]の各図面の右上にある「表示切替」ポップアップメニューから[図形ウィンドウ]の[グリッドの表示]をON/OFFすると各図面上のグリッド(格子)の表示/非表示が切り替わります。[相対座標/絶対座標]は[絶対座標]に,[スナップ]をONに,[グリッド]を表示にしておきましょう。

画面の下方に[ドット]と書かれた部分があります(図5)。[ドット]の横の数字が画面の1ドットのスケールを示します。数字の右の選択ボックスから1ドットのスケールの単位が選べるようになっています。建築の設計の単位はミリですから,この単位は「mm」としておきましょう。すると,もしドットの右側の数字が「20」ならば1ドットは20ミリということになります。 しかし,実は,画面の1ドットのスケールを意識することにはあまり意味はないと思います。画面のドットは目に見えませんから…。それよりも,意識するといいのは,[グリッド]のスケールです。

図5 絶対座標/相対座標,スナップ,グリッド

 

[グリッド]の1単位(間隔)はドットの値の10倍ということになっています。つまり,もしドットの値が20ミリだったら,グリッドの間隔は200ミリだということです。

Shadeには,CADと同様に,グリッドにスナップする(グリッドの交点をポイントする)機能があります。それが[スナップ]です。 Shadeのスナップの間隔は「グリッド間隔の1/2に制限される」ということになっています。つまり,もしグリッドの間隔が200ミリだとしたら,スナップの単位は100ミリとなり,したがって,図形の描画単位は100ミリとなります。

さあ,実際に,6メートル×6メートルの正方形を高さゼロの位置に水平に描いてみましょう。

[ツールボックス]から[作成]>[一般]>[長方形]を選ぶと四角形が描けます。水平な四角形は[上面図]上で描くことになります。ここで,マウスポインタを[上面図]上で動かしてみてください。 6メートル×6メートルの正方形を[上面図]の中央に描くことを考えましょう(必ずしも中央に描かなくてもいいのですが,とりあえず中央に描くことにしましょう)。四角形を描くためには,その対角をポイントすることになりますが,向かって左上と右下の対角をポイントする場合,座標値としては(-3000,0,-3000)から(3000,0,3000)をポイントすることになります。マウスポインタを動かしながら,メインウィンドウ右下の座標値を見てください。(-3000,0,-3000)から(3000,0,3000)の範囲をマウスが動いていますか?

もし,マウスの動く範囲が(-3000,0,-3000)から(3000,0,3000)より狭ければ,画面を[ズームダウン]してください。逆に,マウスの動く範囲が広すぎれば[ズームアップ]してください。[ズームダウン]は図面上部の[-],[ズームアップ]は[+]です。あるいは,図面上部の[虫眼鏡]アイコンをプレスしてマウスを上下に動かすと[ズームイン/アウト]します。(-3000,0,-3000)と(3000,0,3000)をスナップするためには,グリッド間隔が500ミリくらいになっていると好都合ではないかと思います。

次に,マウスカーソルの高さ,つまり,Y座標の値を確認してください。高さゼロの位置に図形を描く場合,Y座標の値は0でなければなりません。マウスポインタを[上面図]で動かす時に,Y座標が0であればいいのですが,もしそうでなければ,いったんマウスポインタを[正面図]か[右面図]上をもっていき,高さ0の位置(X軸上)をCtrl+クリック(MacではOption+クリック)してください。Ctrl+クリック(MacではOption+クリック)した位置が記憶されます。

ここまで準備ができたら,[ツールボックス]から[作成]>[長方形]を選び,(-3000,0,-3000)から(3000,0,3000)にマウスをドラッグして,四角形を描いてください(図6)。

図6 四角形の作図

 

壁の描画

作画した6メートル×6メートルの正方形をガイドラインにして,箱形建築の壁を作成しましょう。ここで作成するのは厚さ150ミリの壁です。壁のエッジは「45度カット」としましょう。 メインウィンドウが[上面図,正面図,側面図,透視図]に[分割]されていると作図がしにくいと思うので,ウィンドウ全体に[上面図]を表示しましょう。[分割]表示の初期設定では[上面図]はメインウィンドウの左上にあると思います。その場合,メインウィンドウ上部の[コントロールバー]の[図面レイアウトの選択]ボタンを[左上ビュー]に切り替えれば,ウィンドウ全体に[上面図]が表示されます。

グリッド間隔を100ミリ,すなわち,ドット単位を10ミリにしないと,150ミリの厚さの壁の短点をスナップできません。[上面図]を適当に拡大してください。なお,ここで,高さ(Y座標)が0に固定されていることを確認してください。 図面を拡大した時に,6メートル×6メートルの正方形の全体が表示されなくなってしまう場合は,図面上部の[手のひら]アイコンを選択すると,図面が[パン](上下左右にずらす)できます。実は,この[パン]は作図中に非常によく使いたくなるコマンドで,キーボードのスペースバーを押しながらマウスをプレス,あるいは,マウスのホイールボタンをプレスすれば,いつでも使えるようになっています。 ズームとパンをうまく使って,箱形建築の4面の壁を描いてください(図4)。

図7 壁の作図

 

壁は,端部を45度カットの形状で描く必要があるので,[ツールボックス]>[一般]>[作成]の[閉じた線形状]を使って台形を描いてください。[閉じた線形状]は,形状を始点から一回りするように順番にクリックしていき,再び始点でクリックするか,あるいは,始点の一つ手前のポイントでダブルクリックをすれば描かれます。

4面の壁を全部描いてください(図5)。その際,画面下部の[ステータスバー]の[絶対座標/相対座標]ボタンを,[絶対座標]から[相対座標]に切り替える操作を試してみてください。[相対座標]では,マウスポインタの座標が直前にポイントした位置からの相対的な距離として表示されます。壁を作図する場合には,[相対座標]の方が作業しやすいと思います。

8 壁の作図

 

床の描画

続いて,1階と2階の床を作図しましょう。1階床は,壁に囲まれる5700×5700の正方形です。2階は,階段部分に穴が空いた形状となります(図9)。階段の穴の大きさは3200×900です。なお,[閉じた線形状]を描く時に,ポイントする位置を間違えた場合は,ctrl+Zで一つ前の状態に戻れます。

図9 床の作図

 

ブラウザ

さて,ここで[ブラウザ]について説明をします。[ブラウザ]はShadeのモデリングにおいてとても重要で便利なものですから,使い方をしっかり覚えてください。 ここまでに描いてきたのは以下の7つの形状です。

  1. 6メートル×6メートルの正方形
  2. 壁×4面
  3. 1階床
  4. 2階床

[長方形]で描いた形状と[閉じた線形状]で描いた形状がありましたが,実は,[長方形]は[閉じた線形状]の一種なので,すべては[閉じた線形状]です。つまり,図面上には7つの[閉じた線形状]が存在しているわけです。 この7つの[閉じた線形状]をリストアップしているのが,画面の右上にある[ブラウザ]というウィンドウです(図10)。

図10 ブラウザ

 

ブラウザに7つの[閉じた線形状]がリストアップされているのを確認してください。そして,それぞれの[閉じた線形状]をクリックして選択してみてください。ウィンドウズの一般的操作と同様に,shiftキー,または,ctrlキーを押しながらアイテムをクリックすると,連続選択(連続したアイテムを選択)や複数選択(連続していないアイテムを複数選択)できます。このように,shadeでは,モデリングされるすべての形状がブラウザにリストアップされます。 ここで,図7では,すべてのアイテム(形状)の名前が「閉じた線形状」になっているわけですが,これではどのアイテムがどの図形なのかさっぱりわからないので,アイテムに,図8に示したような名前をつけましょう。アイテム名の上でダブルクリックをすれば(あるいは右クリックで[名前…]を選べば)[名前]ダイアログが開いて名前を変更できます。

図11 名前の変更

 

さらに,ブラウザの内容を図12のように整理しましょう。

図12 ブラウザの整理

 

図12のようにブラウザの内容を整理するための手順は以下のようになります。

  1. [ルートパート]を選択(クリック)した状態で,[ツールボックス]>[パート]>[パート]を選択。
  2. すると,「パート」という名前のアイテムがブラウザにリストアップされる。このアイテム「パート」は,形状アイテムをグルーピングするためのフォルダ(入れ物)である。
  3. 「パート」を2つ作成し,「壁」と「床」という名前をつける。
  4. 壁アイテム×4を選択し,フォルダ「壁」の中に移動する。床アイテム×2も,同様にフォルダ「床」に移動する。

壁と床以外のアイテムである「閉じた線形状」は最初に描いた6メートル×6メートルの正方形のことですが,この形状は不要なので削除しましょう。削除は,形状を選択してdeleteキーを押せば一発です。

建築でもなんでも,一般に形態は部品の集合です。箱形建築のような単純な形態でさえ,壁,床,開口部,階段などの部品の集合です。人間の顔だって,顔の本体に目,鼻,耳,髪などの部品がくっついて成り立っています。モデリングは,部品の構成を整理しながら作業をしないとわけがわからなくなってしまいます。また,どの部品のどの部品の関係が深く,どの部品とどの部品は独立しているかなども意識しながら作業を進める必要があります。同一の素材感をもつ部品をセットで扱っていく必要があることも少なくありませ(素材感については後述します)。 ブラウザは,部品に名称をつけ,グルーピングをしていくためにあります。名称をつければ部品の構成がわかりやすくなるし,グルーピングをすることで部品を階層的に整理することができます。ブラウザを活用しましょう。

平面図形の立体化(挿引体)

ここまでの作業で,壁と床の平面図が描けました。平面図を基に,壁と床を立体化しましょう。 まず,壁を立体化しましょう。平面図に箱形建築の壁の高さである6000ミリの高さを与えれば立体化完了で,この操作は以下の通りです。

  1. 高さを与える壁を選択する。ブラウザの「壁」パートをクリックすると,4枚の壁が同時に選択されます。
  2. [ツールボックス]>[作成]>[立体化]から[挿引]を選択。「挿引」というのは聞きなれない言葉かもしれませんが,Shadeでは,平面図形を立体化することを「挿引」と呼んでいます。ちなみに,Vector Worksでは,立体化された平面図形のことを「柱状体」と呼んでいます。「挿引体」と「柱状体」は同じ意味です。
  3. [正面図](または[右面図])上で,高さ(Y座標)がゼロの位置から6000の位置までマウスを垂直にドラッグ(左ボタンをプレスしたまま動かして離す)。なお,ドラッグを開始するのは,実は高さゼロの位置でなくてもどこでもよくて,垂直に6000ミリだけマウスをドラッグするのが大事なポイントです。また,キーボードの「shift」キーを押しながらマウスをドラッグすると,ドラッグする方向が45度単位で制限され,マウスを垂直方向に動かしやすくなります。

以上で,4枚の壁が同時に立ち上がり,立体化が完了します。

箱形建築の床の厚みは150ミリです。壁と同様に,ブラウザの「床」パレットをクリックして2枚の床を150ミリの高さまで挿引しましょう(図13)。150という長さ(高さ)を指定するためには,[グリッド]の間隔([ドット]の値の10倍)が100とか50とかでなければなりません。適宜図面を拡大して操作をしてください。

図13 平面図の立体化

 

移動とコピー

以上で,壁と床の立体化は完了しています。壁と1階床の位置は正しいのですが,しかし,2階床の位置は正しくありません。屋根もありません。

2階床を正しい高さまで移動しましょう。[ツールパレット]>[作成]>[移動]から[直線移動]を選択すれば部品を平行移動できます。箱形建築の1階の階高(1階床上面と2階床上面の距離)は2800ミリなので,2階床を2800ミリ,上方へ移動させればOKです。でも,ちょっと待ってください。

これまでと同様に,[ズームイン/アウト]で適当なスケールに図面を拡大縮小し,マウスの操作で2800ミリを移動してもいいのですが,ここでは別の方法を試しましょう。

2階床を選択した状態で,[ツールパレット]>[作成]>[移動]から,[直線移動]ではなく[数値入力]を選んでください。そして,図面上のどこかでクリックしてください。すると,[トランスフォーメーション]ウィンドウが現れます。この[トランスフォーメーション]は,図形の拡大縮小/回転/移動の操作を数値的に行うためのもので,初期値は,拡大縮小が[1,1,1],回転と移動は[0,0,0]です。なお,[トランスフォーメーション]は直前の操作の値を記憶します。[トランスフォーメーション]の値は初期に戻すには[復帰]ボタンを押します。

拡大縮小は[1,1,1],回転は[0,0,0]のままで,移動を[0,2800,0]としましょう。すなわち,Y座標に[2800]を指定しましょう(図14)。

図14 床の移動

 

屋上の形状は1階床とまったく同じです。ですから,屋上は1階床をコピーしてつくりましょう。1階床を選択した状態で,[ツールボックス]>[作成]>[複製]>[数値入力]を選択して,1階床を上方へ5600ミリ,複製+移動しましょう(図12)。

図15 屋上のコピー

 

コピーにより屋上の部品を生成したら,[ブラウザ]に表示される部品の名前を変更しましょう。なにしろ,部品をコピーすると同じ名前が一緒にコピーされてしまうので,わかりづらいことになってしまっていると思いますので…(図16)。

図16 ブラウザ(名前の変更)

 

ブーリアン演算(準備編)

以上で壁と床が完成したわけですが,しかし,壁には窓や入口がありません(窓や入口のない建築はありえません)。壁に窓と入口を開けましょう。

あたりまえのことですが,実際の建築ではあらかじめ窓や入口を設計して壁をつくるわけで,壁を後から壊して窓や入口を取り付けるということはしません。しかし, CGでは後から壁に穴を空けるという芸当ができます。というより,CGでは,壁と窓/入口は別々の部品としてつくって,壁から窓/入口を差し引くことで穴の空いた壁をつくるのが一般的です。部品の組み合わせで形態をつくっていくのがCGのモデリングであるわけですが,その形態の組み合わせの操作としては,形態の足し算が行われるだけではなく,引き算が行われることもあるわけです。このような形態同士の足し算や引き算などの操作は「ブーリアン演算」と呼ばれます。

さて,ブーリアン演算による引き算を使って,壁に窓/入口の相当する穴を開けましょう。そのためには,窓/入口を直方体としてモデリングしましょう。とはいっても,Shadeでは,いきなり直方体は描けないので,壁や床と同様に,平面図に高さを与えて立体化します。

箱形建築の窓は幅800ミリ×高さ1200ミリの穴です。この穴の平面図を描きましょう。壁際(壁の端)から600ミリの位置に幅800ミリの長方形を描いてください。ただし,長方形の奥行は壁の厚さよりもやや大きく描いてください(図17)。

奥行が壁の厚さと一致していると,引き算がうまくいかず,紙一重で壁の表面が残ってしまう(穴が空かない)かもしれないからです。図13では窓の奥行を250ミリとし,壁の両側に50ミリずつ飛び出させています。ここで描く窓は壁に穴を空けるための形状なので,奥行は壁より厚ければいくらでも構いません(でも,見栄えとしては壁の厚さよりわずかに厚い程度にしておいた方がいいです)。

図17 窓

 

箱形建築の1階には窓が4つと入口が1つあります。これらの5つの平面図を描いてください(図18)。窓も入口も平面形状は同一ですから,一つの図形をコピーすれば素早く作図できます。連続してコピーを行う場合は,[コマンドバー]の[連続モード]ボタンをONにしておけば,コマンドを選択する手間が省けます。

図18 窓/入口

 

[ブラウザ]を使って,作図する平面図にはわかりやすい名前をつけ,部品を整理しましょう(図19)。

図19 ブラウザ

 

窓/入口の平面図が描けたら,高さを与えましょう。窓の高さは1200ミリ,入口の高さは2200ミリです。

次に,上方に移動して位置合わせをしましょう。窓の移動距離は1150ミリ。入口は150ミリです。2階の窓は,1階の窓をコピーして上方に2800ミリ移動することで生成しましょう(図17)。

図20 窓/入口の配置

 

ここで,窓/入口は,図2-18に示した[ブラウザ]にあるように,たとえば「開口部」といったような名前のパートの中にグルーピングしましょう。

図21 ブラウザ

 

カメラ

以上で窓/入口が配置されました。まだ,ブーリアン演算は行われておらず壁に穴は空いていませんが,ここで,気分転換に箱形建築をレンダリングしてみましょう。レンダリングというのはCGを描画することです。

これから箱形建築をレンダリングしてみるわけですが,その前に,レンダリングの構図を決めましょう。レンダリングの構図は[透視図]ウィンドウで操作します。というより,[透視図]ウィンドウに描かれている構図でCGを描画することがレンダリングであるに他なりません。

[透視図]ウィンドウの構図は,[統合パレット]の中の[カメラ]パレットで操作します。ここで,[統合パレット]というのは,「カメラ,光源(無限光源),背景,テクスチャー(表面材質),形状情報」といった各種の設定を行うためのパレットの集まりです。初期状態で画面の右上に表示されるのが[統合パレット]です。[統合パレット]の表示/非表示はメニュー[表示]から指定できます(表示をON/OFFして,どれが[統合パレット]なのかを確認してみてください)。

[統合パレット]の上段のカメラのアイコンをクリックすれば[カメラ]パレットが現れます(図2-19)。ちなみに,カメラのアイコンをダブルクリックすると,[カメラ]パレットが[統合パレット]から切り離されます。頻繁に[カメラ]パレットを使う場合は切り離しておくと便利ですが,その一方,パレットが図形ウィンドウを隠してしまうので,うっとおしいかもしれません。再度,[統合パレット]のカメラのアイコンをダブルクリックすれば,[カメラ]パレットは元に戻ります。

図22 カメラ

 

とりあえずは,[カメラ]の使い方を覚えましょう。[カメラ]の操作は,透視図の描き方と関係します。カメラには[視点,注視点,視点+注視点,ズーム]といった概念があります。視点はどこから見るか,注視点はどこを見るか,ズームはどの範囲を見るかです。[視点,注視点,視点+注視点,ズーム]のいずれかを指定して,[カメラ]パレットの上左にある枠内でマウスをドラッグすると視線が変化します。マウスは枠内の中心から上下左右にドラッグするようにしましょう。

実は,この「マウスは枠内の中心から上下左右にドラッグ」という操作は,[透視図]上で,キーボードのスペースバーを押しながらマウスをドラッグすることでも操作できます。[視点,注視点,視点+注視点,ズーム]のいずれかを指定して,スペースバーを押しながらマウスをドラッグしてみてください。

構図が決まったら,メニュー[レンダリング]から[レンダリング開始(すべての形状)]を選んでください。[イメージウィンドウ]と呼ばれるレンダリングの結果を表示するウィンドウが現れ,CGが描かれます(図23)。この段階では,窓/入口が壁から飛び出して描かれていることを確認してください。

図23 最初のCG

 

[イメージウィンドウ]の上段左の▼をクリックすると,レンダリングの設定画面が現れます(図24)。レンダリングの設定については後述しますが,1点だけ先に解説します。[基本設定]の右の[イメージ]タブをクリックすると,[解像度]の数値として描画するCGのサイズを設定できます。数値を入力することもできますが,[プリセット]からよく使われるサイズを選択することもできます。適当なサイズを選択し,再度,メニュー[レンダリング]から[すべての形状をレンダリング]で再描画を行ってみてください。

ここで描画されたCGは,[イメージウィンドウ]上段の右方にある[保存…]ボタンを押せば,画像として保存することができます。保存できる画像のファイル形式(ファイルの種類)が選べますが,JPEG(ジェイペグ)がおすすめです。

図24 レンダリングの設定

 

ブーリアン演算(実行編)

さて,壁に窓/入口としての穴を開けましょう。壁に穴を空けるためにはおまじないが必要です。[ブラウザ]の「開口部」パート(窓/入口のグループ)の名前の前に「*」(半角のアスタリスク)を付けてください(図22)。

図25 ブーリアン演算

これだけの操作で,壁に窓/入口が開きます。レンダリングをして確認してください(図26)。

図26 窓/入口のある箱形建築

 

前述した通りですが,Shadeでは形状に対してブーリアン演算(足し算や引き算など)を行うことができます。そのブーリアン演算は,[ブラウザ]で部品の名前の前に記号を付けることで記述していきます。ブーリアン演算のための記号には以下の表1のものがあります(各記号の詳細についてはマニュアル等を参照してください)。

表1 ブーリアン演算

\ 和(交差部分が除去される)
* 差(他の形状を”*”の形状で削り取る。削り取った部分の表面は”*”の形状の表面となる)
$ 積(他の形状との交差部分を取り出す)
= 表面を置き換える
& 他の演算効果をローカルに制限する(演算の効果を同一階層のパート以下に制限する)
+ “*”,”-”の効果を打ち消す
! “*”,”-”,”=”の効果を打ち消す
^ ”=”の効果を打ち消す

 

階段

次に,階段のモデリングにとりかかります。箱形建築に限らず,一般に,階段は複雑な形状をもちます。箱形建築の階段は14段あり,階高=2800,長さ=3200の間に架かっています。1段の寸法は,蹴上=2800÷14=200,踏面=3200÷(14-1)=246.15,となります。

こういった細かい寸法をもつ形状はShadeでは描きにくいので,Shadeでモデリングしようとしないで,別途,CADを使うのが効率的(現実的)です。実際,建築のモデリングをShadeだけでやろうとするのは現実的ではなく,CADを併用するべきです。ここでは,CADを用いて階段を描き,その形状データをShadeに「エクスポート(書き出し)」します。そして,エクスポートされた形状データをShadeで「インポート(読み込み)」します。

AutoCADなどのCADソフトを用いて階段を描きましょう。階段の形状は断面図に表れるので,断面図を描きましょう。必要となるのは,1階床の上に載る階段の2階床の床下までの部分です(図27)。1階床から2階床までの垂直距離  1段目の蹴上=立ち上がりから14段目の蹴上げまでの水平距離  S

図27 断面図(階段)

 

エクスポート/インポート

CADやCGアプリケーション間で相互に図形を受け渡すためによく使われるファイルがDXFファイル(Drawing Exchange File)です。

DXFファイルは,元々は,代表的なCADソフトであるAutoCAD(オートデスク社)が異なるバージョン間でデータを受け渡すために用いていたファイル形式です。今では,AutoCADに限らず,多くのCAD/CGソフトで,相互にデータを受け渡す際のファイル形式として用いられています。内部の仕様が公開されているから,自分でプログラミングを組んで,DXFファイルを書いたり読んだりすることもできます。

AutoCADで階段を描いた場合は,ファイルを保存する際に,ファイル形式として,通常の「AutoCADファイル形式(*.dwg)」ではなく「DXFファイル形式(*.dxf)」を指定する必要があります。

Shadeで読み込む時には,メニュー[ファイル]>[インポート]>[DXF...]を選択し,書き出したDXFファイルを指定すれば,CADで書き出された形状がShadeに読み込まれます(図28)。

図28 DXFファイルのインポート

 

ここで,ShadeでDXFファイルを読み込む時には,ブラウザで「ルートパート」を選択しておくのがいいと思います。インポートされる図形は選択された図形(パート)と同一階層に読み込まれるからです。 Shadeには全体の座標系であるグローバル座標系の他に各形状データや各パートの座標系であるローカル座標系が存在します。どの座標系に対してインポートが行われるかに注意をする必要がありますが,「ルートパート」を選択しておけば,必ずグローバル座標系に対してインポートが行われます。

回転

DXFファイルで読み込まれた階段は,おそらく,断面形状が[上面図]に表れていると思います。これは,CADで描いた図形は高さ情報を持っていないため,Shadeが,高さのない平面的な図形として認識してしまうためです。そのため,階段を立体化するためには,以下の手順のように,インポートされた階段の断面形状を3次元空間上の正しい位置に回転し,奥行きを与えて,ただし位置に移動する必要があります。

  1. X軸を中心に90度[回転](図29)
  2. 900の奥行きで[掃引]
  3. [上面図]で適切な位置に[移動]

図29 回転

 

図30 できあがり