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地図データの活用

基盤地図情報

国土地理院のサイトにある「基盤地図情報」を利用して,街区(敷地周辺)の3Dデータをつくってみましょう。

基盤地図情報(国土地理院)
http://www.gsi.go.jp/kiban/index.html

国土地理院のサイトに書いてありますが,「基盤地図情報」は,「縮尺1/2,500相当の精度で整備した都市計画区域(約10万平方キロメートル)の情報と、縮尺1/25,000相当の精度で整備した都市計画区域外の情報からなり全国を網羅しています」とのことです。また,「年に4回(1月、4月、7月、10月)、新設された道路などの情報を含んだデータとして更新します」とのことなので,最新の地図データといえると思います。

「基盤地図情報」には,以下の10項目の情報が含まれています。

  1. 測量の基準点
  2. 行政区画の境界線及び代表点
  3. 市町村の町若しくは字の境界線及び代表点
  4. 街区の境界線及び代表点
  5. 海岸線
  6. 道路縁
  7. 軌道の中心線
  8. 標高点
  9. 水涯線
  10. 建築物の外周線

街区の3Dデータとしては,上記のうちの1〜4は不要で,5〜10があれば十分だと思います。

地図表示ソフト(FGDV)の入手

「基盤地図情報」は地図データ独自の形式でダウンロードされるので,それを表示・変換するためのアプリケーションが必要になります。そのためのソフトウェアとして,国土地理院が「基盤地図情報ビューア:FGDV」を用意してくれているので,国土地理院のサイトから入手して,インストールしましょう。

http://fgd.gsi.go.jp/download/

ダウンロード

基盤地図情報のダウンロードには,利用者登録が必要となります。登録して利用しましょう。

ダウンロードするデータにいくつかの種類がありますが,「基盤地図情報基本項目(JPGIS(GML)形式)」を選択しましょう。

 

ダウンロードの画面から,「地図から選択」を選択しましょう。ダウンロード項目の設定ができますが,ここでは「全項目」でいいと思います。

ダウンロードしたい地図を指定します。

 

指定した地図をダウンロードします。複数の地図を指定した場合は「まとめてダウンロード」しましょう。

地図を個別にダウンロードすると,「(地図名称).zip」という名称のファイルがダウンロードされます。ZIPファイルなので,複数のファイルが一つに圧縮されているわけですが,これはXML(地図)形式のファイルの集合です。ZIPファイルを解凍して内容を確認してみるといいのですが,実は次の作業にはZIPファイルの解凍は不要です(解凍してみる場合も元のZIPファイルは残しておきましょう)。

一方,「まとめてダウンロード」すると,,データが「PackDLMap.zip」といった名称の,これまたZIPファイル(圧縮ファイル)としてダウンロードされます。「PackDLMap.zip」は,複数の地図の「(地図名称).zip」の集合なので,これは解凍する必要があります。必要なのは,ダウンロードした個々の地図のZIPファイルです。

基本地図情報ビューア(FGDV)

 

地図データの表示

基本地図情報ビューア(FGDV)を起動して,「ファイル>新規プロジェクト作成」に進み,「追加…」で,先にダウンロードした地図データのZIPファイルを指定します。ここで,「大量のデータに対して…」の項目にはチェックをしない方がいいと思います(チェックをすると動作が極端に遅くなります)。

「OK」で地図データが読み込まれます。

「設定>表示設定…」から「表示設定」をしましょう。データ量が多い「建築物,建築物(輪郭線),建築物外周線」は非表示にするとよいと思います(表示するデータが多いと動作が遅くなります)。

これで,地図データを表示して,地図を眺められます。

地図データの変換

次に,これまでにダウンロードした地図データから,必要な部分を特定して,その部分の地図データをCADで読み込める形式に変換してエクスポートしましょう。とはいっても,この基本地図情報ビューア(FGDV)で変換できるのは,「シェープファイル(SHP)」などのGIS(地理情報システム)用の形式で,CADで一般的なDXF形式などには変換できません。でも,XML(地図)形式だと,どうにも扱いにくいので,とりあえず,XML(地図)形式をSHP(シェープ)形式に変換しましょう。

さて,ダウンロードした地図データは,図郭領域の集まりです。図郭領域は,「エクスポート>DM図郭領域選択」をONにすると表示されます。で,エクスポートは図郭領域単位で行うのが効率的です。

図郭領域を表示して,必要な部分を選択してください。必要に応じて,複数の図郭領域を選択してください。

図郭領域を指定したら,「エクスポート>エクスポート…」でデータを書き出します。ここで,「変換する要素」は以下のように指定するとよいと思います。「変換種別」は「シュープファイル」を指定しましょう。「直角座標系」にはチェックを入れ,その右にあるプルダウンメニューから座標系の「系」を指定します。

この「系」は,国土交通省の「平成十四年国土交通省告示第九号」で定められた「平面直角座標系」のことです。日本全国が19の系に分類されています。首都圏を含む以下の地域は「9系」にあてはまります。

東京都(一部の島を除く)
福島県,栃木県,茨城県,埼玉県,千葉県,群馬県,神奈川県

「出力先フォルダ」を指定して「OK」を押すと,指定先に「シェープファイル」が書き出されます。

SHPからDXFへ

さて,SHPファイルは,「街区線,建物線」などの要素ごとに記述されたファイルです。したがって,一つの地図は,多数のSHPファイルによって記述されています。

CADで地図を扱うには,SHP(シェープ)形式をCADで一般的なDXF形式などに変換しなければなりません。

実は,SHPファイルが直接読めるCADソフトがあるのですが(VectorWorks2014もその一つです),うまく読めないこともあるようなので,ここでは,GIS(地理情報システム)のソフトウェアを使ってみます。

ESRI社のGISソフト「ArcMap」(ArcGISの一部)を使って,SHPファイルを読み込む(SHPファイルに接続する)と以下のようになります。

ここで,「ArcToolBox」の「変換コマンド」から「CADへの変換>CADへエクスポート」を選択すると,以下のようなダイアログが現れます。「入力フィーチャー」に変換したいSHPファイル(要素)を指定し,「出力ファイル」に出力したいDXFファイルの名称を入力します。

CAD(VectorWoks)による地図データの編集

ここでは,VectorWorks(エーアンドエー社)というCADソフトウェアを使って,地図データを編集します。

インポート

VectorWorksの「ファイル>取り込む..」より,地図データのdxfファイルをインポートします。

ここで基盤地図情報の単位はメートルのようなので,単位をミリに変換しましょう(変換は後で図形を「伸縮..」してもいいのですが…)。

図1がインポートの結果です。

図1 地図データのインポート

 

ここで,地図データは,たとえば,図2のようなクラス(AutoCADなど他のCADソフトではレイヤなど)に分類されているはずです。

図2 地図データの分類

 

VectorWorksでは,クラスの編集で「属性を使う」ことにより,各クラスに属性を指定できます。クラスを適切に色分けすると,データが見やすくなります(図3図6)。

図3 クラスの編集

 

図4 クラスのリスト(オーガナイザ)

 

図5 属性(面と線の色)の指定

 

図6 クラスの色分け

 

モデリング領域の抽出

次に,地図の必要な部分を抽出し,余分な部分を削除しましょう。

四角形を描きます(基本ツールより「四角形ツール」を選択し,四角形を描きます)(図7)。そして,描いた四角形を選択した状態で,「加工>線分を切断」を選択します。すると,描いた四角形に重なる図形が切断されます。

 

図7 四角形の描画

 

その後,四角形の外にある図形を選択して,削除します(図8)。

図8 不要な図形の削除

 

不要な部分を削除したら,図面の縮尺を変更するといいと思います(図9)。

図9 縮尺の変更

 

街区と建物のポリゴン化

3Dデータとして特に重要なのは,街区(道路に囲まれた領域)と建物だと思います。街区と建物がポリゴン(多角形)としてデータ化されていると3Dにしやすいのですが,街区や建物がポリゴンではなくライン(線分)で描かれているとやっかいです。

基盤地図情報は,建物はうまくポリゴン(面)になっていることが多いようですが,街区の方はポリゴンになっていないことが多いようです。平面図形を立体化する時,面は高さを与えることで容易に立体化できますが,線の立体化は面倒です(線に高さを与えると,立体ではなく面になってしまいます)。そこで,街区がポリゴンになっていない場合は,CADの操作で,線分をポリゴンに変換しましょう。VectorWorksでは,変換したい図形を選択して,「加工>合成」でポリゴン化できます。

街区と建物の他にも3D化したい図形,たとえば高架の道路や鉄道などがあれば,ポリゴン化しましょう。ポリゴン化されていないラインは3D化できない(するべきではない)と考えるべきだと思います。

ここでは,線として描かれている街区をポリゴン化する手順を解説します。

街区が描かれているクラスだけを表示します。周辺が切り取られている場合は,線を足して,すべての街区が閉じた図形になるようにしましょう(図10)。

図10 街区の描画

 

新しく街区のポリゴンを作成するクラスを作成しましょう(図11)。ここでは,新しいクラス名を「Gaiku」としています。

図11 新規クラスの作成

 

新たに作成したクラス「Gaiku」を描画クラス(作業をするクラス)とし,ポリゴン化したい図形(線で描かれた図形)を選択し,「加工>合成」を選択して,図形の内部をクリックすると,新たにポリゴンが作成されます(図12)。

図12 ポリゴンの作成(線の合成)

 

すべての街区をポリゴン化しましょう(図13)。

図13 街区のポリゴン化

 

同様に,道路や緑地などもポリゴン化しましょう。ここでは,そのために,先に作成したクラス「Gaiku」の他に,「Green(緑地),Railway(鉄道),Road(道路),Water(川)」といったクラスを新規に作成しました。また,建築物を階数別に分類するために「House2F,Hose3F,House4F,House5F」というクラスも追加しました(図14)。

図14 クラスの追加

 

道路と緑地と川をポリゴン化した結果が図15です。

道路は複雑な形状のことが多く,また,多くの場合,道路は街区と同じレベルであることが多いと思います。街区と同じレベルの道路はポリゴン化しなくても,大きな地面を一つ作成し,その上に街区を配置すればいいかなと思います。ここでは,街区と異なるレベルの道路だけをポリゴン化しています。

図15 街区,道路,緑地,川のポリゴン化

 

建物の高さ(階数)

個々の建物は高さ(階数)が異なるので,階数別にクラスを分けましょう。建物の階数は,自分で現地に出向いて調査するのが一番だとは思いますが,調査が面倒な場合は,たとえば「ゼンリンの住宅地図」を見れば,階数が表記されています。Google Mapの航空写真や,Google Earthの3Dデータを参照してもいいのかもしれません。いずれにしても,なんとかして,階数別に建物を分類しましょう。

ここでは,「2階/3階/4階/5階以上」という階数別のクラスを作成し,「ゼンリンの住宅地図」を参照して,に,それぞれのクラスに建物を分類しました(図16)。

図16 建物階数の分類

 

DXFファイルへのエクスポート

ここまでで,ポリゴン化された2次元図形として街区がデータ化されました。このデータを立体化して,レンダリングするためには,3DCGソフトのShadeを使いましょう。VectorWorksで立体化することもできるのですが,ここでは,専用のCGソフトであるShadeにデータを受け渡すことにします。

VectorWorksの「ファイル>取り出す>DXF/DWG取り出し...」を選択します。「DXF/DWGの取り出し」ダイアログで,形式「DXF(テキスト)」を指定します。「クラス/レイヤ変換」では「DXF/DWGの画層として:クラスを取り出す」を指定しましょう。

「OK」を押すと,データがDXF形式で書き出されます(図17)。ここで,DXFファイルの「形式」は「DXF(テキスト)」,また,オプションの「2D」の「2Dの面として取り出す」にチェックが入っていることを確認しましょう。

図17 DXFファイルの書き出し

3DCG(Shade)による立体化

Shadeを使って,地図データを立体化します。

「ファイル>インポート>DXF...」で,VectorWorksで書き出したDXFファイルを指定し,インポートします(図18)。ブラウザを見ると,VectorWorksのクラスがパートに分かれて読み込まれていることがわかります(クラスがパートに分かれて読み込まれるようにしましょう)。

図18 Shadeへのインポート

 

あとは,パート別に高さの設定をすれば,街区の3Dデータの出来上がりです。